今日は『班女』のあらすじをご紹介しようと思います。
そもそも班女とは何か?と言うところから。
「班女」は「班氏の女(むすめ)」のことで、具体的には班婕妤を指します。班婕妤は中国の前漢の成帝の愛人だったが、趙飛燕にその座を奪われ、捨てられた我が身を秋の扇になぞらえて詩『怨歌行』を作った。この故事に因んで「班女」と渾名されている。
平たく言うと、班さんの愛人、でしょうか。
では、能の班女のお話を見ていきましょう。
美濃国野上の宿(今の岐阜県不破郡関ヶ原町野上)に、花子という遊女がいました。ある時、吉田少将という人が東国へ行く折に投宿し、花子と恋に落ち、お互いに扇を交換して、将来を約束して別れます。それ以来、花子は少将を想って毎日扇を眺めて暮らし、宴席の勤めに出なくなります。野上の宿の女主人は、人から班女というあだ名で呼ばれる花子を苦々しく思い、宿から追い出してしまいます。
東国からの帰途、吉田少将は再び野上の宿を訪れますが、花子がすでにいないと知り、落胆します。失意のうちに京の都へ帰った少将は、糺ノ森の下賀茂神社に参詣します。その場に、偶然にも班女すなわち花子が現れます。宿を追い出された花子は、少将に恋焦がれるあまり、狂女の班女となってさまよい歩き、京の都にたどり着いていたのです。
恋の願いを叶え給えと神に祈る班女に、少将の従者が声をかけ、面白く狂って見せよといいます。班女は、その心ない言葉に誘われるように心を乱し始めます。少将と取り交わした形見の扇を手に、あてにならない少将の言葉を嘆き、独り身の寂しさを訴えながら、舞を舞います。扇を操り舞うほどに心乱れ、班女は、逢わずにいればいるほどつのる恋心を顕わにして、涙にくれるのでした。それを見ていた少将は班女の持つ扇が気になり、扇を見せるよう頼みます。黄昏時の暗い中、少将と花子はお互いの持つ扇を見て、捜し求めていた恋人であることを確かめ、喜び合うのでした。
そう、ハッピーエンドのお話なのです。
昔約束を交わした男女が、時を経て巡り会う、と言うお話です。
女のひとが恋しさのあまり気が触れてしまう、と言うのは外国では知りませんが日本では昔から良く聞くように思います。
男性よりも女性の方が恋や愛に固執してしまう傾向にあるのでしょうか。
確かに、そればかりに気を取られてしまう気持ちは分からなくも無い……ような気もします。いやでも女性は上書き保存で、男性の方がいつまでも引きずるとか言うしなあ。その渦中は、てことでしょうかね。情念とか言うと女という感じがするのは私だけかしら。あまり男の情念とか聞かないしなあ。
しかしね、男に気を取られて仕事をしなくなるとは何事か!と普通に怒りたくなりますね(笑)恋は盲目とはよく言ったものです。まさに、それの最たるものでしょうか。
あの人を思うと夜も眠れないの。もう何も手につかないの。みたいな感じなのかしら。
そりゃあ女将にも疎まれて追い出されもしますわ。
そのまま岐阜から京都までさまよい歩き、下鴨神社に変な女がいると噂になって、参詣に訪れた恋人の目にとまり、もしやその扇は…?と再会を果たす。
こう書くと身も蓋もないですね。。
以上、班女のお話でした!
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